2002 年 71 巻 1 号 p. 31-38
NODマウスは加齢によりI型糖尿病を自然発症するマウスである。このマウスに足底1回のらい菌投与がどのような免疫応答を示すのかについて検討したところ、糖尿病発症の促進ではなく、完全阻止がみられた。しかし、糖尿病発症に先立つ膵炎発症を阻止することはなかった。この際対照群では、糖尿病発症に先立って、抗hsp65および抗38kDたんぱく質血清抗体がみられたが、らい菌接種マウスではこのような抗体価は検出されなかった。
らい菌接種による発症阻止に占める免疫学的機序解明のため、マウス脾臓培養細胞におけるリンパ球応答反応、ガンマーインターフェロン、IL-10産生などについて検討したところ、コントロールマウスとらい菌接種マウスとのあいだには特に顕著な差異は認められなかった。