2009 年 51 巻 2 号 p. 127-139
2008年6月に新たに選定された平成の名水百選の水質特性を明らかにするために調査・採水をおこなった。平均値をみると、ECの値は地下水が相対的に高く、pHは湧水・地下水が6.9とほぼ中性であるのに対し、河川水・用水は7.6と弱アルカリ性を示していた。水温は地下水が相対的に低い値となっていた。水質組成としては、Ca-HCO3型が卓越しているが、Na-Cl型のように海水や風送塩の影響を受けている地点や、Ca-SO4型のように火山などの影響があらわれていると思われる地点も存在している。δ18OやδDは東日本側で相対的に低く、西日本側で相対的に高い値を示す傾向が認められた。またd-excess値は日本海側で高く、太平洋側で低いという分布特性が明瞭にあらわれていた。