日本耳鼻咽喉科学会会報
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小児隠蔽性中耳炎による顔面神経麻痺の2症例
高松 一郎小河原 昇藤本 眞奈美長原 太郎佃 守
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1996 年 99 巻 7 号 p. 985-990,1073

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抄録

1983年1月から1994年3月までに神奈川県立こども医療センター耳鼻咽喉科を受診した顔面神経麻痺症例は31例で, そのうち隠蔽性中耳炎が原因の2症例につき検討した.
年齢はともに1歳3カ月, 男児. 女児各1名. 2症例とも, 鼓膜に穿孔はなく発赤, 肥厚, 膨隆のみであり, 保存療法や鼓膜切開で麻痺は改善しなかった. 経乳突的に鼓室を開放すると, 顔面神経水平部の周囲には多量の肉芽が見られた. 肉芽を除去後, 顔面神経を一部減荷し鼓室チユーブ留置術を施行したところ, 2カ月以内に顔面神経麻痺は完全に回復した. 幼小児の顔面神経麻痺では隠蔽性中耳炎によるものがあり, 経乳突的鼓室開放術, 顔面神経減荷術などの手術的治療が必要となる症例が存在する.

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