目的: 分野を超えた雑誌インパクトの比較を可能とするため,引用元雑誌の引用傾向(論文あたり参考文献数)の違いを考慮したソース規格化指標 SCJIF を提案し,その規格化の効果を検証した.方法:近縁しているが雑誌インパクトファクター(JIF) に差のある分野として Clinical Neurology(CN) と Neurosciences(NS) を選び,Journal Citation Report Science Edition 2009 のデータを使って,これらの分野に属する雑誌の SCJIF を算出した.結果と考察: NS に属する雑誌の JIF は CN より高い傾向があるが,これは NS の方が論文あたり参考文献数が多いためであり,これを考慮した SCJIF ではその格差が縮小した.また CN と NS の各分野内においても,SCJIF における雑誌間格差は JIF より縮小した.これは,同一分野内にも引用傾向の異なる細分領域が存在するためと考えられる.結論: SCJIF は分野間及び分野内の引用傾向の違いを考慮した指標であるため,JIF とは異なる雑誌の側面を捉えることができる.