聴覚評価表 (田中式聴覚発達検査, IT-MAIS) が乳幼児の聴力を早期に把握するための一助となることを検証する目的で, 症例の聴覚機能を継時的に評価した.
症例は補聴器や人工内耳を装用した15例の重度難聴群, 高度難聴群, 中等度難聴群の乳幼児である.
その結果, 重度難聴群では人工内耳の術前の低得点と術後の聴覚評価表における得点上昇が観察された. 高度難聴群では急速な聴覚発達, 聴力悪化, 困難な養育環境, そして心身の発達の遅れの影響と考えられる得点変化が検出された. 中等度難聴群は他群より高得点であった. これらの特徴は2つの評価法の間で類似し, 症例は聴力が悪いほど低得点であった.
以上から聴覚評価表は聴力把握の一助になりうると考えられた.