音声言語医学
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原著
内転型痙攣性発声障害の実態調査
井上 瞬渡嘉敷 亮二平松 宏之本橋 玲豊村 文将野本 剛輝鈴木 衞
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2013 年 54 巻 2 号 p. 129-135

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抄録

ボツリヌムトキシン注射あるいは手術が有効であった,内転型痙攣性発声障害の患者43例に対し,発症年齢,病悩期間,治療内容に関するアンケート調査を行った.発症年齢は10代が最も多く,診断にいたるまでに平均で6年8ヵ月を要していた.診断にいたるまでに多くの患者が複数の医療機関を受診しており,その平均は4.2件であった.手術では全例で症状の改善が得られていた.音声治療も効果が得られていたが,約半数の患者は変化がないと回答していた.薬物治療やカウンセリングで改善した例はなかった.正しい診断にいたるまでに長期間かつ多数の医療機関受診を要する実態は,10年以上前の中西(2000年)の先行研究と現在も同様であり,より多くの医師が本疾患への認識を広める必要がある.

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© 2013 日本音声言語医学会
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