日本臨床外科学会雑誌
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原著
食道癌標準術前化学療法による有害事象と,関連する要因の検討
武藤 俊博小池 聖彦伊藤 友一中山 吾郎藤原 道隆小寺 泰弘中尾 昭公
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2010 年 71 巻 2 号 p. 335-343

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抄録

目的:食道癌に対する術前補助化学療法(neoadjuvant chemotherapy,NAC)の有害事象について検討した.方法:5FUとシスプラチンを用いたNACを25例の胸部進行食道癌に施行した.grade 3,4の有害事象を集計した.結果:grade 3,4の有害事象は10例40%に認められ好中球減少が9件と最多であった.この10例はgrade 3,4の有害事象をきたさなかった15例と比較すると,高齢(平均64歳versus 56.8歳,p=0.02)でBMIは低く(平均値19.3 versus 22.4,p=0.04),NAC中のIVH施行率が高い傾向を認めた(5/10;50% versus 2/15;13%,p=0.08).3件の発熱性好中球減少症はすべてIVH施行例に発生した.結論:高齢者,低栄養に対するNACはgrade 3,4の有害事象発生の危険が高い.

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© 2010 日本臨床外科学会
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