日本小児アレルギー学会誌
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総説
小児気管支喘息と呼気中一酸化窒素濃度
西田 光宏吉原 重美
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2016 年 30 巻 5 号 p. 651-658

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抄録

1. ハンドル測定器による呼気NO測定は, ATS/ERPの定めた50ml/秒, 3秒プラトーの条件で測定されている. 2. 呼気NO値は, 性別や年齢や体格, さらにアレルギー性鼻炎などにより影響を受けるため, コンセンサスのある基準値がない. ATSは呼気NO値を12歳未満と12歳以上で, 低値と中間値と高値に分類している. 3. 喘息症例において, 呼気NO高値例はICSが症状と呼吸機能改善に有効である. 呼気NO低値例は, 非好酸球性喘息の可能性が高く, ICSの有効性は低い. 4. 12歳以上の喘息児を対象に, 呼気NOと%V50とアレルギー検査を指標とした筆者らの検討では, 軽症アトピー喘息, 重症鼻炎合併喘息, 重症アトピー喘息などのフェノタイプが明らかとなった. 5. 呼気NOはTh2優位な喘息を予測するバイオマーカーの1つである. 呼気NO測定は簡便かつ非侵襲的であり, また患児が好んで受けたがるようにデザインされた装置を用いるため生物学的製剤の適応と効果判定に有用な可能性がある.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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