日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
小児アレルギー性鼻炎の重症度ならびに症状の程度の評価におけるvisual analog scaleの有用性
和田 拓也板澤 寿子濱道 美紀樋口 収伊藤 靖典中林 玄一岡部 美恵足立 陽子足立 雄一
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2016 年 30 巻 5 号 p. 642-650

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抄録

【背景】アレルギー性鼻炎 (AR) の重症度や症状の程度を評価する目的で, Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma (ARIA) やわが国の鼻アレルギー診療ガイドライン (PG-MARJ) に基づく質問票が用いられている. しかし, ARIAでは患者の多くが中等症・重症と分類されてしまい, PG-MARJでは症状を1日の平均回数でスコア化しており, 正確に回数を把握するのが困難であるという問題点がある. 【目的】小児AR患者の重症度および症状の程度の評価, モニタリングのため, より簡便な方法であるvisual analog scale (VAS) の有用性を検討する. 【対象・方法】当科定期受診したAR患者を対象とし, ARIAならびにPG-MARJに基づく質問票と鼻炎症状のVASを比較検討した. また, 1~2か月後の再診時までのそれぞれの変化について検討した. 【結果】VAS値は, ARIAの分類による軽症よりも中等症/重症で有意に高値であり, 両者を識別するカットオフ値は26mmであった. また, VAS値はPG-MARJによる症状の程度と有意な正の相関を認め, さらに再診時までの鼻炎症状点数の変化量はVASの変化量との間に有意な正の相関を認めた. 【結論】小児AR患者では, VASは重症度ならびに症状の程度を簡便に評価することが可能であり, 症状のモニタリングのツールとして有用である可能性が示唆された.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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