2017 年 12 巻 1 号 p. 116-124
超高齢社会を迎え,認知症をもつがん患者が増えている.本研究では,がん診療連携拠点病院における認知症ケアの整備体制を明らかにすることを目的とした.2015年2月に,がん診療連携拠点病院を対象に郵送法による自記式質問紙調査を行った.調査項目は,英国のaudit調査をもとに,研究者間で選定した.188施設より回答があった(回答率48.3%).認知症患者の療養・退院支援やBPSD(行動・心理症状)に関するマニュアルを整備している施設は5.3%であった.プライマリ・チームによる認知症アセスメントを実施している施設は50%程度であった.認知症に関する研修体制を整備している施設は29.3%であった.本研究により,がん診療連携拠点病院における認知症の整備体制の実態が明らかにされ,基本的な認知症ケア・支援体制に関する普及啓発の必要性が示唆された.