Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
がん化学療法における副作用予防のための薬学的ケアの必要性―デキサメタゾン投与における血糖値モニタリングの場合
松村 千佳子中村 暢彦青松 幸雄桑田 博文高山 明矢野 義孝
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2012 年 7 巻 1 号 p. 101-111

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抄録

【目的】大腸がん患者に対するがん化学療法において, 制吐目的でデキサメタゾン(DEX)の予防投与を長期に受けた患者が異常な血糖値の上昇を示す場合がある. 本研究は, 転移性大腸がん患者のDEXによる血糖値上昇について調査し, 患者のQOLを改善するための薬学的ケアの重要性について考察することを目的とした. 【方法】DEXの投与群, 非投与群のがん化学療法を受けた50名の患者のデータを後ろ向きに調査した. 【結果】DEX投与群の患者30名の中で8名の患者に異常な血糖値の上昇(随時血糖値200 mg/dl以上が2回以上と定義)がみられ, その中で3名は糖尿病と診断された. DEX非投与群の20名の患者は注目すべき血糖値上昇はみられなかった. 【考察】がん化学療法においてDEX投与も受けている患者において血糖値上昇が見られることを確認した. 血糖値上昇は糖尿病の症状である倦怠感といった症状を引き起こす可能性があることから, 血糖値上昇を早期に発見するために適切な薬学的ケアをすることが合併症の予防に重要である.

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© 2012 日本緩和医療学会
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