2012 年 7 巻 2 号 p. 172-184
本研究の目的は, 緩和ケアの地域介入で使用された地域共通の緩和ケアマニュアル・パンフレット・評価シートの利用状況を明らかにすることである. 介入地域における配布数, 医師706名・看護師2,236名の質問紙調査, 医療福祉従事者80名に対するインタビュー調査を分析した. 配布数と使用頻度が多かったものは, マニュアル, 看取りのパンフレットであった. 医療者の体験としては, 【経験や職種に限らず地域での共通認識がもてる】【あいまいに経験的にしていたことが自信をもってできる】が最も多く挙げられた. マニュアルは,【必要な項目が網羅されている】【内容が凝集されていて携帯できる】【具体的で実践的である】と評価された. 看取りのパンフレットは【口頭で説明しにくいことが絵で分かりやすい】と評価された. 地域共通のマニュアルと看取りのパンフレットは地域全体で利用可能で, 地域緩和ケアの向上に貢献することが示唆された.