ウイルス
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特集1 ウイルスとインターフェロン
6. ポリオウイルスの標的組織特異性決定機構
小池 智
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2004 年 54 巻 2 号 p. 205-212

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抄録

ポリオウイルスは急性灰白髄炎の原因となるウイルスである. 世界規模のワクチンの接種によってこのウイルスの根絶宣言が出される日も遠くない. しかしながら, このウイルスが持つ神経組織に選択的に病変を生ずるという組織特異性がどのような機構によってもたらされるのかという基本的な問題は長い間謎であった. 組織特異性の決定においてウイルス複製に必要なウイルスレセプター, ウイルスのタンパク合成開始に関与する宿主因子と並んで我々はI型インターフェロン応答が重要な役割を果たすことを見い出した. I型インターフェロン応答は非標的組織でウイルスの増殖を阻害する負の制御因子として働く. 組織特異性はこれらの機構のバランスによって決定されていると考えられる. それぞれの決定機構についてこれまでの研究の概略を述べる.

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© 2004 日本ウイルス学会
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