2009 年 50 巻 7 号 p. 356-361
関西22病院にて肝臓病教室に関するアンケート調査を行なった.対象は,医療者55名,慢性肝疾患患者176名.肝臓病教室を定期開催しているのは7施設,経験はあるが現在未施行2施設,未施行13施設であった.継続できない理由は,マンネリ化や慣れたスタッフの配置換えによるパワーダウン,教室の効果を把握しにくいなどで,開始できない理由は,準備などの時間がないが最も多かった.医療者と患者とも,各々95%,94%が教室は必要と回答した.提供すべき情報は,医療者は1位:肝臓病とは,2位:治療方法,3位:合併症とその対策/肝臓の働き,患者側は1位:治療方法,2位:治療効果,3位:食事療法を上位に挙げた.教室のメリットは,両者とも1位:自己管理の向上,2位:治療に対して前向きな姿勢になれる,3位:不安の軽減,と一致した.有効な患者教育の普及のためには,方法論の普及,有用な情報の種類や提供方法の検討,情報提供による効果の評価方法を確立し医療者のやる気の維持につなげるなどが必要と考えられた.