2013 年 54 巻 1 号 p. 74-80
症例は75歳,男性.特発性膜性腎症に対し免疫抑制療法を施行されていた.治療開始11カ月後に肝障害が出現し当科入院.膜性腎症診断時のHBs抗原陰性,HBs抗体陰性,HBc抗体陽性であり既往感染例と考えられたが,肝障害出現時にHBs抗原陽転化を認めたため,de novo B型肝炎と診断した.HBV-DNAは9.1 logcopies/mLと上昇しており,核酸アナログ製剤の内服を開始した.以後,トランスアミナーゼ,HBV-DNAともに漸減し,重症化・劇症化することなく経過した.de novo B型肝炎の基礎疾患として本症例のような腎疾患の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する.