2014 年 64 巻 2 号 p. 171-175
痔瘻の術後に劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症を発症した1例を報告する.
症例は33歳, 男性. 他院での痔瘻の日帰り手術を受けた. 術後2日目に40°Cの発熱と臀部痛が出現した. 近医 (他院) 受診し抗菌薬処方されるも, 術後5日の早朝に臀部痛の増強と全身倦怠感悪化から体動困難となり, 近隣2次病院を受診し入院となった. 同院で点滴による抗菌化学療法を開始されたが, 同日ショック状態となったため当院へ転院搬送された. 来院時, Septic shockによる播種性血管内凝固症候群 (DIC), 多臓器不全 (MOF) を呈しており, 抗菌化学療法, 抗凝固療法, 補助循環等による集学的治療を行なったが来院後約9時間後に死亡した.
痔瘻術後の本症の報告はない. 痔瘻のような小手術であっても術後感染対策を十分に行う必要がある.