日本内科学会雑誌
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診療行為の経済学的分析
基本的な考え方と応用例
新保 卓郎
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2000 年 89 巻 6 号 p. 1206-1211

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抄録

近年,診療行為の経済学的分析,特に費用効果分析が盛んに報告される.これは医療技術の効果だけではなく,効果を得るために必要な費用も同時に評価するものである.これにより費用対効果の優れた医療技術が見いだされ選択されれば,有限の資源が効率的に利用され社会の中で大きな効用を生み出すことができる.しかしこのような分析の結果は,社会の中での公正の原則に反したり,慢性的障害を負った患者や医療の必要性の高い患者に不利に働く危険性がある.また臨床医にとって個々の診療現場でジレンマを生む可能性がある.しかし近年普及の著しい診療ガイドラインの作成などには医療経済学的視点が欠かせない.これには臨床医が関与する必要があり,臨床医もこのような診療行為の経済学的分析に関する問題点を理解しておく必要がある.

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