パーソナリティ研究
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原著
因子分析における独自因子構造解析
福中 公輔豊田 秀樹
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2011 年 20 巻 2 号 p. 98-109

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抄録

因子分析においてモデルの改良を行う場合,因子数や因子パタンを変更することがよくある。しかしこれらのアプローチは,研究当初の構成概念の意味を変更,あるいは歪曲してしまうという問題点がある。また構造方程式モデリングの観点から独自因子に相関を仮定して対処することも可能であるが,どの因子間に相関を仮定すべきかの基準は曖昧である。そこで本研究では,グラフィカルモデリングの共分散選択を利用して,研究当初に仮定した構成概念の意味を変更・歪曲せず,かつデータからの明確な理由でモデルを改良するための独自因子構造解析という探索的アプローチを提案する。本研究ではこの独自因子構造解析の有効性を示すために,3つの適用例を示す。1つ目の例では統計自己効力感の尺度開発を行うという状況の下で本手法を適用し,質問項目の吟味を行った。2つ目の例では6科目の成績データに本手法を適用し,想定した因子の妥当性の検討を行った。3つ目の例では2因子の確認的因子分析モデルに対してモデルの改良を行いたいという状況の下で本手法を適用し,仮定したモデルの考察を行った。分析の結果,独自因子間の関係性に影響する主要な要因を明らかにすることができ,モデルを改良するための指針を得ることができた。

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© 2011 日本パーソナリティ心理学会
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