日本臨床外科学会雑誌
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肝十二指腸瘻を合併した化膿性肝膿瘍の1例
水崎 馨福永 裕充浦 希未子
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2002 年 63 巻 2 号 p. 444-448

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抄録

症例は49歳の男性で,発熱と右季肋部痛を主訴に来院し,敗血症によるショックおよびDICのため入院となった.入院直後に行った腹部CTおよび超音波検査で肝S4に膿瘍を認めたため,経皮経肝膿瘍ドレナージ(以下PTAD)を行った.膿汁の細菌培養で嫌気性菌を認めた.全身状態軽快後のPTAD造影では十二指腸が造影され,肝十二指腸瘻が証明された.しかし胃十二指腸内視鏡検査では十二指腸球部よりやや肛門側寄りに小潰瘍を認めるのみで内瘻は明らかではなかった.肝十二指腸瘻の治療のため,腹壁吊り上げ法による腹腔鏡下手術を施行し,良好な結果を得た.肝膿瘍による肝十二指腸瘻の報告は国内外を併せて10例をみるに過ぎず,腹腔鏡下手術による治療例は他に報告例はない.

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