2003 年 64 巻 7 号 p. 1575-1578
症例は64歳,女性. 2001年3月,労作時の息切れ,歩行困難を主訴に当院受診し,著明な貧血を認め入院精査となった.上部消化管内視鏡で胃体下部後壁に0-I型早期胃癌,大腸内視鏡で横行結腸と下行結腸の2カ所に2型進行大腸癌を認めた.さらに手指足趾の肥大,顔貌異常のため精査したところ成長ホルモン異常高値,脳MRIで下垂体腺腫を認め,末端肥大症と診断した.上記診断で同年4月11日,幽門保存胃切除術D1+結腸右半切除術D3+左結腸切除術D3を行った.続いて同年10月11日,経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘除術を行った.術後経過は良好で現在まで無再発生存中である.末端肥大症患者を長期経過観察する上で,常に悪性腫瘍の合併を念頭に置き早期発見に努めることが重要である.