美術教育学:美術科教育学会誌
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題材「夢の色模様」における題材論的方法の研究
立原 慶一
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2001 年 22 巻 p. 115-127

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抄録
本研究は,「題材と主題表現の関係」という視点から青少年に絵画制作を行わせ,このことを通じ彼らが,自己の生や世界との関係に切り口をつけ,その題材によって動機づけられた「絵画的イメージ」を「造形表現」化すること。さらにはそのプロセスに葛藤を伴いつつも,画面に実現された内容を彼らが意識的,批判的に感受する体験を通して,あるいは無意識的にまた恣意的な効果の享受を通して,彼らの人間形成が意識的,無意識的に形づくられるという,方法論の確立を目指すものである。 本稿においては,方法化された制作活動によって彼らが新しい生き方の可能性(自分がどうありたいか)を発見することが,期待されることとなる。こうした研究の全体的枠組みの中で,ここではとくに題材名に着目することとする。題材名を構成する言葉が制作者におけるイメージの発展に及ぼす影響に焦点を合わせ,それを生動させるための条件を究明し,原理として提示したいと思う。 小論の目的は,現代における青少年の主体性の形成,さらには自我(他者や世界との関係を映した自己意識)の確立を目指し,それに対して貢献しうるような題材と主題表現の関係をめぐる構造の特質を明らかにしつつ,題材名が主題表現を豊かに且つ多彩に行わせるための条件を究明することにある。
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© 2001 美術科教育学会
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