抄録
チャイニーズハムスター卵巣細胞由来の遺伝子組み換え型ヒト顆粒球コロニー刺激因子(rG-CSF)の小児期好中球減少症に対する臨床効果を検討した。対象は先天性好中球減少症(CN)8例,慢性好中球減少症などの種々の好中球減少症(MN) 9例,周期性好中球減少症(CYN) 3例,再生不良性貧血(AA) 7例である。原則として皮下投与で2 μg/kgの7日間投与を行い,反応の悪い例では5 μg/kgに増量し7∼28日間投与した。全症例における有効率は67% (18/27)であった。一般にCNやAAでは有効率がやや低かった。平均好中球数はCNでは88から2,718/μlへ,MNでは189から7,224/μlへ,AAでは220から851/μlに増加した。また,CYN 3例は全例有効であった。投与終了後は速やかに前値に下がる例が多かった。副作用は軽度の腰痛と一過性のトランスアミナーゼの上昇が1例ずつにみられたのみで,安全性に特に問題はなかった。CNやAAでは増量や投与期間の延長も必要と思われる。