抄録
本稿では,まず,図画工作科および美術科における指導要録の観点の一つである「発想や構想の能力」の評価について,その歴史的な経緯や位置づけについて確認するとともに,B.S.ブルームの教育目標の分類やE.W.アイスナーの「表現目標」の理論からのアプローチを試みた。そして,著者の授業実践をもとに検討や考察を行うことを通して,「発想や構想の能力」を「思考力・判断力」として捉え直す試みを行った。その結果,我々の身近な世界や自然界に無数にある造形表現のきっかけになるものを生かしていく経験をつむことができるように,題材の「指導目標」に幅をもたせたり,友達とのかかわりの場を設けたりするなども有効であることが分かった。