日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a7
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口頭発表
セルリー廃棄部の成分的優位性
*石田 裕入田 菜穂子鈴野 弘子
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抄録

[目的]セルリーはオランダミツバとも呼ばれセリ科の植物である。日本には1600年頃持ち込まれといわれているが独特の香りを有するため我が国ではあまり普及しなかった。近年、食の欧米化により、かなり一般的になったが、葉の部分は廃棄される傾向である。その結果、成分表では廃棄部が35%と高い。また市販されている形態をみても、一本ずつ僅かに葉を残した状態のものが多く、実際の株と比較すると廃棄率はさらに高くなると考えられる。そこで本研究では、その廃棄部を含め栄養成分がどのように分布しているのかを明らかにし有効利用の可能性について検討することを目的とした。 
[方法]品種は一般的に流通されている交雑種コーネル619を用いた。株ごと採取し、まず葉茎の中心部と中間部、外縁部のそれぞれに分け、さらに節ごとに葉部、茎上部、茎下部に分け、9区分を試料とした。成分分析は5訂日本食品標準成分表の試験法に従った。
[結果]一般成分、ミネラル、ビタミンについては一般に食用とされる茎下部、茎上部はほぼ同様の含有量を示し、成分表の数値とも近似した値であった。しかし葉部は含有量が大きく異なり一般成分では水分が少ない分、たんぱく質と炭水化物、灰分含量が2_から_3倍高かった。またミネラル成分も同様であった。ビタミンについてはカロテンが葉部に約600μg/100gと20倍以上の含有がみられ、ビタミンCは50mg/100g前後、ビタミンEは2mg/100g前後と5倍以上の差がみられたのが特徴的であった。また中心部と中間部、外縁部の比較では若干の差はみられるものの、2倍以上の差がみられる項目はほとんどなかった。

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