2010 年 31 巻 p. 83-98
本稿は,美術教育において3Dアニメーションの制作を教材として運用可能とするための一連の基礎研究の一部であるとともに,その総括を示すものである。この一連の研究において,3DCG表現の教育内容としての重要性,他のCG表現に比した3DCG表現指導の困難さ,そしてそれを克服する方法等を示した。本稿では,これらを受けて,10名の中学生を対象者としたピア・サポートの援用による授業形式の3DCG表現学習活動を実施し,その活動を記録した履歴情報から,その指導法としての有効性を検証した。さらに,これまでの一連の議論を総合的に考察することで,通常の学校教育現場を想定した3DCG表現指導法のプロトタイプを示した。