2011 年 32 巻 p. 69-83
本研究は,図画工作・美術科の授業における教師の発話の様態を分析し,その構造や特性を実証的に明らかにするものである。まず1回目の授業研究においては,「第2教育言語」による発話が,子どもの表現活動をより促進する役割を果たしていることを確認するとともに,「子どもと同等の立場,あるいは逆転的な立場に基づく発話」の存在も明らかにし,これを「第3教育言語」と規定している。そして2回目の授業研究を通して,この発話が子どもの表現活動をさらに能動的なものへと強化する役割を有するものであると位置付けている。さらにこの発話が,教師の自己表出に基づくものであり,教師のあらゆる発話の成立を決定する要因であると指摘している。