美術教育学:美術科教育学会誌
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明治期における石膏像素描教育 : 工部美術学校と東京美術学校を中心に
瀬谷 裕美
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2011 年 32 巻 p. 229-241

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抄録

本稿は,石膏像素描教育が近代日本の美術教育に導入された意図と,その後の変容を歴史的に明らかにすることを目的とする。工部美術学校と明治期の東京美術学校を中心に,教育目的,指導法,素描様式の3つの観点の変化について,現存する資料と先行研究を基に考察を行った。その結果,石膏像素描は西洋の文化理解の目的で導入され,工部美術学校から東京美術学校へと主要な専門美術教育機関が変遷したことに伴い,臨画から直接の素描へと指導方法も変化したことが明らかになった。また,素描様式には,輪郭線を強調し,中間の調子を抑えて描くという共通点はあるが,構図への配慮は少なくなったことがわかった。

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