抄録
本研究の目的は,アートが人間の精神に対し教育的効果だけではなく,生の全体性の回復のための治療的効果ももつということを確認することである。5〜30歳の患者に対してアートセラピーを行ったが,とくに箱庭療法は,その創造的な製作の過程が患者の自我の発達と強化に影響することを見いだした。彼らの内的世界を箱庭に表現する過程は視覚と触覚,身体と心,また意識と無意識等を結びつけながら,自己治癒力を発揮するように思われた。結果として,治療を受ける人たちは,彼らの問題から生の全体性を取り戻しつつ回復していった。アートは,現代社会の子どもの精神の健康にも重要な役割を果たすと思われる。