2013 年 34 巻 p. 243-259
本研究は,前論文において明らかになった子どもの主体としての育ちを支える<共感的なかかわり>の意義を,「子どもの育ちを支援しようとする大人たちにとって」という視点から再考しようとするものである。2組の親子が参加するごく小規模な子育てサークルにおける造形的な遊び場づくりのプロセスを,親たちの関係性の変容という観点から考察し,<共感的なかかわり>に基づいた造形的な遊び場づくりが,大人(親)たちの間に協働を通した学び合いの場をひらきうることを明らかにした。そして,他者及びもの(造形素材)に未知性を感受=発見し,これを探求しようとする「わからないけど,わかりたい」という姿勢が,「わかりたい未知性」を孕んだ自己自身との対話の場をもひらき得るという意味で重要であると結論づけた。