2013 年 34 巻 p. 307-318
中学生の美術科学習におけるよりよい「表現主題の言葉」「作品感受の言葉」獲得を目的として,五七調フレーズを用いてそれらを記述する指導を行った。短歌や俳句と規定せず,五音,七音の音律に乗せたフレーズとして提案した。それらの獲得を複数の実践から考察した。五七調フレーズは,従来の二語ほどの単語の組合せで表記していた表現主題記述に比べ,作者の内面の感情像を的確に示すことが可能であった。又,作品鑑賞においても,五七調フレーズが即物的記述から説話的解釈,本質的直感に至る感受レベルを示し,作品感受の言葉として適切であった。五七調の言葉による表現主題及び鑑賞の感受の記述は,限られた音にもかかわらず豊かな味わいを共有できる手軽なツールとして,教育活動に有効であることを実証した。