抄録
中学校美術科第3学年の陶芸について,制作及び鑑賞プログラム開発を行った。大胆で動的な桃山茶陶に着目して玉づくりによる碗作品を制作し,それらの陶芸の作品鑑賞において,床の間を想定して絵画と合わせて場を構成し,そのマッチングを検討する協働的な作品鑑賞を試みた。同一の陶芸作品であるにもかかわらず,合わせる絵画によって,作品の見え方が変化することは驚きであった。生徒がそれらの微細な感受やマッチングを話し合うことで,より陶芸作品のもち味を感じ取り,感性を働かせる鑑賞活動が創出された。本稿では,特にその協働的な「場を構成する」作品鑑賞を取り上げ,その教育的有効性を実証する。