抄録
小論は,大正後期から昭和初期において指導的立場にあった4校の高等師範学校附属小学校の手工科教員(伊藤信一郎,山形寛,横井曹一,大竹拙三)が,その機関誌において主張した教科観の推移から,当時の手工教育の実態を明らかにすることを目的とした。研究の結果,時代・制度・所属校などの特性から影響を受けつつも,子ども中心のカリキュラムを基調としながら,多様な教育思潮(労作教育,工業教育,実業教育,芸術教育,構成教育など)を摂取することで,その内容を教科の目的と方法とに複雑に引用しながら,各実践者固有の主張が展開されていたことが分かった。