抄録
本研究の目的は,特別支援学校の各校種間における美術の指導困難事項の差異を明らかに することである。調査では,全国の特別支援学校に勤務する美術の主任教員600名分を分析対 象とした。指導困難に関する32問の質問項目に対し視覚・聴覚・肢体不自由・知的・病弱の 5 校種の評価得点を算出し,校種による分散分析を行った。分析の結果,聴覚特別支援学校とそ れ以外の校種で困難さに有意差がみられた。特に,肢体不自由特別支援学校は指導全般にわた る困難を抱えており,聴覚特別支援学校では美術の指導にそれほど困難を感じていない現状が 明らかとなった。