本研究の目的は,中学生が自己開示を行い,自己への洞察を深めることができる造形ワーク ショップの提案である。そのために,みたて表現を用いて作品制作を行っている作家の創作 プロセスをモデルとすることで,中学生自身も自己の内面に触れる自己開示を伴った造形活 動を行うことができるという仮説を立てた。この仮説を作家のインタビュー映像を見るという かたちで活動内に実装した。効果を検証するために,主に公募で中学生の参加者を募集し,実 践を行った。そして仮説に基づく実践と作家のインタビュー映像を見せない仮説に基づかない 実践を行い,先行研究に基づいたオリジナルのコーディング表を作成し,分析を行った。その 結果,仮説に基づく実践では,情景描写より自己の内面に関わるポジティブな自己開示からネ ガティブな自己開示まで多様な表現が促されることが解った。一方で仮説に基づかない実践で は,情景描写が促されやすいことが明らかとなった。