2018 年 39 巻 p. 423-434
本研究の背景は,美術教育分野の価値領域において,学習者の問題解決の能力を育成するジレンマ学習にある。考察の対象は,社会的状況における芸術の価値を対象とした美的判断ジレンマ,作品体験の際の価値を扱った質的ジレンマの先行研究にある。本研究の目的は,美術教育における,ジレンマ学習の方法論と類似する他の研究とを比較し,特性を明らかにすることにある。研究の結果,ジレンマ学習の特性が,学習者が問題解決における失敗として選択肢の構造を捉えることが明らかとなった。