2021 年 42 巻 p. 291-301
ブルーノ・ムナーリによる子どものための芸術教育について,イタリアと日本における先行研究を調査し,ムナーリの教育観・手法が諸活動の中でどのように形成されたか,内外の研究を参照しながら考察する。本研究では文献調査と関係者への聞き取りにより,ムナーリの教育に関する内容を中心にイタリアと日本において研究がどのように展開されてきたか調査した。イタリアの研究ではムナーリの教育観にデューイ,モンテッソーリの教育哲学の影響と当時の教育改革運動との関連が指摘されており,ムナーリがレッジョ・エミリアの幼児教育やミュージアム教育へ影響を与えた点に論及している。日本ではムナーリの来日ワークショップの継承から,近年はイタリアの後継者たちの活動に注目する研究が生まれており,ムナーリの教育の再評価が期待される。