主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 127-
【目的】サボテンは代表的なCAM植物であり、乾燥ストレスのきびしい環境で生育を可能にする植物機能をもつ。近年、サボテン固有の機能性成分に着目し、栄養特性や生理作用に関する研究が活発に行われるようになってきている。これまでに当研究室では、抗酸化物質を含んだパンの作製において食用ウチワサボテン(春日井サボテン)乾燥粉末を添加するとパン酵母活性が高まったことを示唆する結果を得ている。今回本研究では、食用ウチワサボテン由来成分がパン酵母発酵に与える影響について検討し、パン酵母利用型還元反応の活性化法への適用を試みた。
【方法・結果】食用ウチワサボテン由来成分がパン酵母発酵に与える影響について確認するために、ドライイーストとグルコースを用いて発酵液を調製し、サボテン粉末の添加がグルコースの消費活性に与える影響を評価した。その結果、サボテン粉末添加により溶液中のグルコース消費速度が向上(4-アミノアンチピリン比色法・糖度計測定)することを確認した。なお、サボテン粉末添加条件においては補酵素(NADPH)生産活性も向上(WST-8 Assay)していた。次に、バニリンを基質とし、パン酵母発酵液中における還元反応について食用ウチワサボテン由来成分の添加による活性化効果について検討した。その結果、アルデヒドからアルコールへの還元反応の活性化が可能であることを見出した。本発表では、グルコースの消費量追跡および還元反応系への適用検討の詳細について報告する。