主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 262-
【目的】柑橘類に豊富に含まれる配糖体ポリフェノールであるヘスペリジンは血圧改善など多様な生体調節作用を有することが報告されている. 他方, その難溶性が食品展開を制限する要因であった. 当研究室ではこれまでにヘスペリジンを豊富に含む摘果ミカンと緑茶三番茶葉を揉捻混合発酵させたミカン混合発酵茶ではヘスペリジンの水への溶解性が向上することを明らかにしてきた(中山久之, et al. 日本栄養・食糧学会誌. 67. (2014). 95-103.). そこで, 本研究ではミカン混合発酵茶摂取によるヘスペリジンの生体利用性を明らかにすることを目的として, ラットを用いた体内吸収挙動の解明を行った.
【方法】 (1)Sprague-Dawley(SD)系ラット(8週齢)に対してヘスペリジン10 mg/kgを単回経口投与して, 得られた門脈血および循環血について, LC-TOF/MS法でショットガン代謝物解析を行った. (2)SD系ラット(8週齢)に対してヘスペリジン 10 mg/kgおよびミカン混合発酵茶 714 mg/kg (ヘスペリジン 10 mg/kgに相当)を単回経口投与し, 尾静脈血中のヘスペリジン(脱抱合体化処理して, ヘスペレチンとして定量)をLC-qTOF/MS分析により求めた.
【結果】 (1)ヘスぺリジンは腸管吸収過程並びに肝臓を介して主としてヘスペレチンへと分解され, 硫酸およびグルクロン酸抱合体として血中移行していることが明らかになった. (2)ミカン混合発酵茶摂取ではヘスペリジン単独摂取よりも約2.5倍ヘスペリジン吸収量が増加することが判明した. 以上より, ミカン混合発酵茶にはポリフェノール吸収促進作用があることが明らかになった.