主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 30-
【目的】ベタインは生体内では主にコリンの代謝産物として血中ホモシステインを低減させることが知られており,その機能性が注目されている栄養素である.一方で,過剰摂取による危険性の報告もあり,含有量を正しく把握する必要がある.幅広く食品全般に適用可能な分析方法としてはUSDAのデータベースで採用されている方法があるが,複数種のコリン類と同時分析であるため煩雑である.加えて,特定化学物質のクロロホルムを抽出溶媒として使用している.そこで,我々は簡便で特定化学物質を使用せず幅広い試料に適用可能なベタイン分析方法を確立することを目的とした.加えて,確立した分析方法を用いて市販弁当を分析し,一般的な食事から日本人がどの程度ベタインを摂取しているか調査した.
【方法】均質化した食品について,試料に過塩素酸を加えた後,ホモジナイザーを用いて抽出し,得られた試験溶液をLC-MS/MSを用い,サロゲート補正により定量する分析方法を確立した.確立した方法に対し,2濃度の試料(調製粉乳および小麦粉)を2併行で5日計10回実施し,中間精度を評価した.同時に既知濃度の標準溶液を添加し,その回収率で真度を評価した.評価指標はAOACIの単一試験所の妥当性確認ガイドラインと比較した.定量下限は定量下限相当のベタイン含有試料の繰り返し分析から推定し,検量線は直線性を確認した.確立した方法を用い市販弁当および加工食品について含有量を調査した.
【結果】確立した方法の妥当性確認の結果,検量線の直線性は良好で,定量下限は1 mg/100gと推定された.真度は調製粉乳および小麦粉の添加回収率がそれぞれ103 %,100 %,中間精度は相対標準偏差がそれぞれ2.6 %,2.0 % と良好な結果となった.日本人が一般的な食事からどのぐらいのベタイン量を摂取しているかの調査は,発表時に報告する.