日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Jp] 畜産物、乳製品
菌体外多糖(EPS)の殺菌セットヨーグルトの構造・物性への影響
*川野 友暉市村 武文中村 卓
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p. 376-

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抄録

【目的】

 殺菌ヨーグルトは,賞味期限が長く,食品ロス削減につながる.日本でも2014年から乳等省令にて発酵乳(殺菌)として認められている.通常は前発酵ヨーグルトに熱凝集を抑制する安定剤を添加し,加熱殺菌(後殺菌)して製造されている.一方でセットヨーグルトを加熱殺菌すると,ザラツキと硬度の上昇といった課題が生じる.これらの変化は,組成や製造条件の違いにより差があることが報告されている.前回大会にて,発酵後の粘性が高い乳酸菌を用いることで,後殺菌による食感・構造・物性への影響を抑制することを報告した(1).この要因として,乳酸菌が生成する菌体外多糖(EPS)による可能性を示唆したが,詳細なメカニズムは明らかでない.そこで,本研究では乳酸菌の違いが後殺菌により食感・構造・物性に差を生じるメカニズムについて,特に,EPSに着目し検討した.

【方法】

 発酵後の粘性が異なる2種類のスターター(H:粘性高,L:粘性低)を用いた.また,粉末化したHのEPSを添加した乳を発酵し,後殺菌の影響を確認した.後殺菌温度は85℃とし,殺菌後すぐに氷水で冷却した.物性測定はクリープメーターによる破断強度試験を実施した.構造観察は,共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)にてタンパク質・EPSの分布を観察した.また,電子顕微鏡(SEM)にてネットワーク構造を観察した.成分測定はHPLCにて多糖類の定性・定量分析を行った.

【結果】

 HPLCにより,HのEPSはLの約5倍の分子量で,約3倍の濃度であることが確認された.この結果は,CLSMと相関が見られた.また,LにHのEPSを添加することで,後殺菌による破断応力上昇を抑制することが示唆された.この他の結果も合わせ,乳酸菌の違いが後殺菌による食感・構造・物性に差が生じるメカニズムを考察する.

(1)川野ら,日本食品科学工学会第70回大会講演集,3E702

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