【目的】米ゲルは高アミロース米を炊飯(加熱糊化)後に高速剪断撹拌することで作製されるゲル状の食品素材で,洋菓子,パン,麺などの様々な食品の代替素材,加工食品に利用できる.しかし,そのレオロジー特性,冷蔵保存中の老化の挙動については明らかではない.本研究では,米ゲルの冷蔵保存中の物性挙動の変化を測定し,粉状のコーンスターチ(以下,CS)から調製されるゲルとの比較を行った.【方法】高アミロース米であるホシユタカに2.5倍量の水を加えて炊飯後,Robot-Coupe社製BLIXER-5Plusを用いて2分間剪断することで,米ゲルの試料を得た.CSに関しては15%(w/w) の試料を沸騰湯浴中で加熱糊化して試料を調製した.試料は4℃で0~4週間保存して力学測定に用いた.試料のレオロジー特性としては,動的粘弾性測定装置(Thermo Fisher Scientific, HAAKE MARS III)を用い,温度20℃,角周波数 ω が0.628 rad/sから628 rad/sの範囲で貯蔵弾性率G',損失弾性率G'',動的粘性率η'を得た.また,レオメータ(山電, RHEONERⅡ CREEP METER RE2-33005C)を用いて,測定速度 1 mm/sで定速圧縮試験を行い,試料の破断荷重と破断歪を求めた. 【結果】米ゲル,CSゲル共に,測定角周波数のほぼ全域においてG'>G'',log10 η' vs. log10 ωプロットの傾きが約 -1で,レオロジー的にほぼ“真のゲル”とみなせることが確認された.また,米ゲル,CSゲル共に,同一の ω でのG' は冷蔵保存時間と共に増加する傾向がみられた.定速圧縮試験に関しては,米ゲルでは,冷蔵保存1週間以降で破断点が確認でき,経時的に破断荷重が大きく,破断歪はやや小さくなる傾向がみられた.CSゲルに関しては,冷蔵保存時間の増加と共に,破断荷重が大きくなる傾向がみられた.