主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 426-
【目的】本研究では,パウダーレオメーターFT-4(以下FT-4)という測定機械を用いて,乳原料を中心とした粉体の物性に関する調査を行った.食品の粉体流動性は粒子径,付着力など様々な要因が絡んでおり,評価が容易ではないことが知られている.また,従来の測定機械であるパウダーテスターは,粉体の流動性評価指標の一つである安息角などを測定することができるが,実製造での条件を正確に数値化および評価することは困難であった.一方,FT-4は,従来の測定機械では測定できない条件での粉体の流動性を評価できることが特長の1つと考えている.
【方法】FT-4は,粉体中を回転するブレードが上下に移動する際にかかる垂直荷重と回転トルクを計測することで,流動性エネルギーを算出する.一定数ブレードを回転させ,サンプルを均した後に測定した流動性エネルギーはBFE(Basic Flowability Energy)と定義され,その大小で流動性の評価を行う.また,ブレードの回転速度の変更や通気状態での測定など,詳細な条件を変更して測定することもできる.そのため,より実製造に近い条件で粉体の流動性を評価することが可能と考えている.
【結果】本研究では,脱脂粉乳や乳たんぱく質,ミルクカルシウムなど様々な乳原料についてFT-4を用いて測定し,乳原料の流動性に関する新たな知見を得ることができた.これらの結果は,実製造における粉体の流動性評価やプロセス最適化に役立つことが期待され,今後製品品質の向上や生産効率の向上に寄与することが予想される.今後は,より多くの材料や条件についての調査を進め,産業界への応用に向けた研究を進めていく予定である.