主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 84-
【目的】高尿酸血症は,血中尿酸濃度が高まった状態であり,痛風の主な原因として知られている. 近年,日本において高尿酸血症や痛風の患者が増加していることから,尿酸値の上昇を抑制する食品成分の探索が求められている.そこで我々は埼玉県比企郡ときがわ町で限定的に栽培されている柑橘類である福みかん(Citrus tumida)という品種に着目した.福みかんには,高尿酸血症の予防・改善効果がすでに知られているノビレチンが豊富に含まれていることが特徴である.我々は福みかんの未利用資源である果皮からノビレチンを高純度化した福みかん果皮抽出エキスを精製する技術を開発し,福みかん果皮抽出エキスの培養肝細胞における尿酸産生抑制作用とプリン体過剰投与モデルマウスにおける尿酸値上昇への影響について検討を行ったので報告する.
【方法】福みかん果皮抽出エキスの尿酸産生抑制作用を評価するため,マウス由来AML12肝細胞株にサンプルと同時にプリン体で処理し,培養上清中の尿酸量の測定を行った.次いで,高尿酸血症モデルマウス(5週齢・雄性ICRマウス)を用いて,福みかん果皮抽出エキスの経口投与を行い,プリン体を腹腔投与後,血中尿酸値を測定することで福みかん果皮抽出エキスの影響を検討した.
【結果】AML12肝細胞では,福みかん果皮抽出エキスがプリン体の添加によって上昇した尿酸産生を濃度依存的に抑制した.また高尿酸血症モデルマウスでは,福みかん果皮抽出エキス投与群がプリン体投与による血中尿酸値の上昇を抑制した.これらの結果から福みかん果皮抽出エキスには,尿酸値の上昇を抑制し,高尿酸血症を予防する可能性があることが示唆された.今後は福みかん果皮抽出エキスの尿酸産生抑制の作用機序の解析を進めていく予定である.