日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3La02
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[3La01-10] 発酵,酵素利用
九州豚骨ラーメンの美味しさ解明 炊き出し工程におけるアーキアの消長および役割
*中山 素一, 伊藤 隆, 加藤 真悟, 大熊 盛也, 田中 俊昭, 田川 裕治, 米満 宗明
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抄録

【目的】前発表の通り、所謂「昔ながらの風味」を有する呼び戻し製法の豚骨ラーメンでは、2種類のアーキアが存在し、それらの代謝物が風味形成に大きく寄与していることが示唆された。工業的に本風味を再現するためには、2種類のアーキアの役割および、呼び戻し製法でスープを作っているNとは異なる店舗でも同様のことが起こっているかを明らかにすることが不可欠である。今回、呼び戻し製法の異なる店舗のスープ中の菌の同定、およびリアルタイムPCRによる2菌の消長挙動から興味深い知見が得られたので報告する。【方法および結果】 他2店舗スープ中の微生物同定呼び戻し製法のNと異なる2店舗より炊き出し直後のスープを入手し、WGS分析により、菌の解析を行った。その結果、2店舗共にSulfophobococcus属のアーキアおよびDesulfurococcaceae科のアーキアの存在が示唆された。更にNも含めてすべての店舗のSulfophobococcus属アーキアは16S rDNA相同性解析の結果、全てSulfophobococcus zilligii と99%以上の相同性を示した。2)独特の風味産生に対する2種アーキアの寄与Nのスープ中2種のアーキアそれぞれに対して特異的PCRプライマーを作成し、炊き出し中の菌の消長を確認した。独特の風味が生成した場合は、両菌共に増殖していた。一方独特の風味が生成しなかった場合、Pyrobaculum属アーキアの増殖は確認されたが、Sulfophobococcus属アーキアは増殖していなかった。このことから独特の風味生成はSulfophobococcus属アーキアによるものと示唆された。3)2種アーキアの単離Nのスープ中のSulfophobococcus属アーキアおよびPyrobaculum属アーキアを、好熱性アーキア用培地を用いた限界希釈培養法にて単離を試みた。その結果、Pyrobaculum属は単離が可能であったが、Sulfophobococcus属は、2菌共存でのみ増殖し、単離することが出来なかった。取り切りスープに、分離したPyrobaculum属アーキアのみを添加したものでは増殖したものの独特の風味を発生せず、2種を添加したものでは臭気が発生した。このことから、Pyrobaculum属アーキアは、Sulfophobococcus属アーキアの生育に対して何らかの寄与をし、独特の風味生成はSulfophobococcus属アーキアによるものということが示された。

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