主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
[目的]現在, 日本国内では食品産業全体で1,623万トンの廃棄物が発生しており, それらの約7割が肥料・飼料として利用されている. 近年, 廃棄物を再利用して付加価値の高い製品に加工する取り組み (アップサイクル) が注目されており, 高付加価値化のための技術として微生物発酵が注目されている. 卵殻膜は, 栄養が豊富なため, 割卵後すぐに腐敗が進み取り扱いが難しいことから, 約9割が廃棄されている. 本研究では, 食品廃棄物である卵殻膜を独自製法で麹化した「卵殻膜麹」の製造を試みた. また, 卵殻膜の麹化によって「卵殻膜麹」に含まれる成分がどのように変化するのか解析した.
[方法]乾燥させた粉末状の卵殻膜に麹菌を接種し, 流動培養装置を用いて麹化した. 調製した「卵殻膜麹」のプロテアーゼ活性およびアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害活性を測定した. また, 卵殻膜と「卵殻膜麹」のメタボローム解析により, 含有成分の比較をした.
[結果]「卵殻膜麹」中に高いプロテアーゼ活性が検出されたことから, ペプチド濃度が高いことが示唆された. そこで, 「卵殻膜麹」に含まれるペプチドが高血圧予防効果を有しているのか, 血圧上昇抑制作用の指標としてよく知られているACE 阻害効果をもとに検証した. 卵殻膜抽出成分(阻害率7%)と比較して, 卵殻膜麹(阻害率96.6%)で高いACE 阻害活性が検出された. さらに, メタボローム解析から卵殻膜麹には多数の成分が含まれることが分かった. 特に, 麹化によって含有量が増加する機能性成分(エルゴチオネイン, N-アセチルノイラミン酸, 4-アミノサリチル酸, S-カルボキシメチル-L-システイン, ヒドロキシリジンなど)を同定した.