主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】我々はこれまでに,魚肉タンパク質(FP)の給餌によってマウス腸内のLigilactobacillus属(LB)構成比率が増加することを複数系統のマウスで確認している.しかし、LB構成比率の増加機序については未解明であった.本研究では,LBの増殖要因の一つに難消化性タンパク質(RP)が関与しているのではないかと考え,マウスの主たるLBであるL. murinusに着目し,その要因の探索を行なった.
【方法】(ⅰ)RPの調製:食事性タンパク質を人工消化し,RPを採取した.分子量およびアミノ酸組成を測定した.(ⅱ)RPの特性評価:カゼイン由来RP(CRP),FP由来RP(FRP) を水溶性画分と不溶性画分に分離し、それぞれの窒素量および分子量を測定した.(ⅲ)L. murinusの特性評価:L. murinusの不可欠アミノ酸を求めるためにオミッションテストを行った.(ⅳ)L. murinusの増殖:RPを唯一窒素源とした合成培地でL. murinusを培養後,生菌数を計測した.(ⅴ)動物実験:CRPおよびFRPを3%添加した餌料をC57BL/6J雄性マウスに4週間給餌し,盲腸内容物中の細菌叢解析を実施した.
【結果】(ⅰ)動物性タンパク質由来RPの分子量は,3500~6500であった.(ⅱ)CRPは水溶性画分の窒素量が多く,一方FRPは不溶性画分の窒素量が多かった.(ⅲ)L. murinusの不可欠アミノ酸はMet,Val,GluおよびCysであった.(ⅳ)各RP間でL. murinusの増殖に有意な差異は認められなかった.(ⅴ)FRP群はCRP群と比較して,マウス腸内LB構成比率に高い傾向が見られた(p = 0.07).以上から,FPの給餌によるマウス腸内LB構成比率の増加は,FRPがLBに直接作用するのではなく他の細菌や代謝物との相互作用に起因している可能性が示唆された.