動物遺伝育種研究
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原著論文
黒毛和種の背最長筋を用いた網羅的遺伝子発現解析
松本 大和小栗 佑介水野 雄仁石田 孝史小林 郁雄祝前 博明齋藤 邦彦笹子 奈々恵小林 栄治久下 志朗本多 健笹崎 晋史大山 憲二万年 英之
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2013 年 41 巻 1 号 p. 07-14

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抄録
黒毛和種の遺伝的改良において、近年脂肪酸組成が食味性への影響から脚光を浴びている。本研究は脂肪酸組成に差のある集団間で発現量の異なる遺伝子を同定し、育種選抜を推進するために必要な DNAマーカーの候補とすることを目的とした。この目的のため、日本各地から集められた黒毛和種集団を筋肉内一価不飽和脂肪酸 (MUFA)含有率が高いグループと低いグループに分け、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、 SPP1 (secreted phosphoprotein-1)、LEP (leptin)、MMP14 (matrix metallopeptidase 14)、IGF1 (insulin-like growth factor-1)、 FGF1 (fibroblast growth factor-1)、FGF2など脂肪酸代謝に関与すると考えられる遺伝子の発現量にグループ間で違いが認められ、これらの遺伝子が MUFAを対象とした選抜を行う際の候補遺伝子となりうることが示唆された。これらの遺伝子の発現量を変化させる原因多型を同定することにより、 MUFA含有率の向上を目指すマーカーアシスト選抜を行う上で有力な DNAマーカーの開発につながることが期待される。
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© 2013 日本動物遺伝育種学会
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