動物遺伝育種研究
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エルクおよびニホンジカにおけるビタミンD結合蛋白質、ヘモグロビン、プラスミノーゲンおよびトランスフェリンの遺伝的多型の比較
福井 えみ子村松 晉吉澤 緑
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2000 年 28 巻 1 号 p. 13-17

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抄録
本研究では, カナダで飼養されているエルクおよびニホンジカにおける、ビタミンD結合蛋白質 (Group-specific component: GC) 、ヘモグロビン (Hemoglobin: HB) 、プラスミノーゲン (Plasminogen: PLG) およびトランスフェリン (Transferrin: TF) の標準型の決定とその比較、さらに、日本の各地域 (北海道、金華山、対島) に棲息するニホンジカ個体群における遺伝的多型の出現について比較した。
エルクの血液試料は、1995年に行われた世界血液比較試験の際にカナダの動物血液センターより供与されたものを用い、北海道、金華山および対島のニホンジカの血液試料は、1996-1998年に全日本養鹿協会より供与されたものを用いた。分析には、水平式ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、等電点電気泳動法およびウエスタンブロッティグ法を併用して行った。
GC、HBおよびPLGの標準型は、エルクとニホンジカでは異なっていたが、TFでは同じ標準型を示した。また、北海道、宮城県金華山、および長崎県対島で飼養されているニホンジカのGC、HBおよびPLGにおいて、多型は観察されなかった。しかし、TFについては北海道、対島において多型が認められ、その遺伝子頻度には差が有ること (P<0.01) が明らかとなった。
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© 日本動物遺伝育種学会
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