2021 年 12 巻 9 号 p. 1135-1142
はじめに:成人脊柱変形に対する側方経路椎体間固定(以下LIF)および経皮的椎弓根スクリュー(以下PPS)を用いたcircumferential Minimally Invasive Surgery(以下cMIS)での胸椎,腰仙椎部分における骨癒合過程を後ろ向きに検討した.
対象と方法:2016年以降に当院でLIFと後方PPSで手術を行い術後2年以上経過観察可能であった脊柱変形患者60例(女性45例,男性15例)において胸椎及び腰仙椎部における骨癒合率,骨癒合形態及びrod折損率を評価し,また胸椎部における骨癒合の有無で患者背景や合併症発生率等を比較検討した.
結果:骨癒合率は胸椎52%,腰仙椎は85%であった.胸椎部におけるスクリューの緩みは骨癒合不全群で有意に多かったがスクリューの脱転やPJK,ロッド折損等の有害事象の発生において有意差はなかった.
結語:ASDに対するLIFとPPSを用いた胸椎部に骨移植を行わないcMISでは胸椎レベルにおいて骨癒合不全群であっても中期成績における有害事象の発生において有意差はなく臨床的に問題ないことが確認された.