ドイツ経営経済学においては,「価値の流れ」という観点から企業を動態的に捉えるアプローチが受け継がれている。そのなかでも,シュマーレンバッハの経験論的な性質と,ニックリッシュによって示された価値循環をトータルに捉えようとする体系性を包摂する枠組を提示したコジオールと,その門下であるコジオール学派の理論枠組は,独自の特質を有している。本稿では,コジオールによって提示された動態的企業観を明らかにしたうえで,それをベースとしてステイクホルダーと企業との関係性を理論的に体系化したシュミットの企業用具説,そしてそこから企業発展を実現するための役割としてのビジネス・リーダーシップを規範的マネジメントという概念枠組で捉えたブライヒャーの所説を検討する。この検討を通じて,ドイツ経営経済学における動態的企業観の特質を明らかにするのが,本稿の目的である。